新発見!4Dプリンターとはどんな原理なの?3Dプリンターとの違い

皆さんは3Dプリンターについてご存知でしょうか。

少し前に、3Dプリンターを駆使して拳銃を作ったり、色々騒ぎになりましたよね。

 

非常に高度な技術となっていて、物を作れる、物体を生み出すことができるものとなっています。

 

そんな技術の普及が本格的になっていく中で、早くも4Dプリンターという存在が出てきています。

 

今回はその4Dプリンターに関してご紹介していきたいと思います。

 

結論から言うと、3Dに時間軸を加えたものになります。

では、どのような物なのでしょうか。

 

4Dプリンターとは何か?どんな原理か

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まず3Dプリンターの紹介ですが、3Dプリンターは、光(紫外光、UV光)などで硬化する液体樹脂の登場で実現した成形技術を採用した物です。

 

この技術の発展はさまざまな業界に大きな影響をもたらしており、現在では、カーボンや金属などを用いて耐久性の高い成形物も出力できるようになってきています。

 

 さらに、材料として形状が遷移する素材を利用すれば、成形後の物質に形を変えることができます。

具体的には宇宙空間のような極限環境での製造プロセスに大きな進歩をもたらすことができます。

 

形状遷移素材の一例としては、例えば形状記憶合金が当てはまります。変形を与えても、特定の温度以上では元の形状に回復すると言ったような性質を持っています。このように熱や光など、特定のある条件によって形状に変化する素材はたくさんあります。

 

さて、金属が今まで形状遷移のメインでしたが、セラミックなど非金属の高分子材料にも形状記憶の現象が起きるのです。それを活用し、形状記憶樹脂として用いるという動きが、解明されてきました。

 

 高分子の形状記憶については、ゴムを例とするとわかりやすいです。引っ張ったり、力をかけると数倍もの長さに伸びる。かけていた力を取り除くと元の状態に戻る。いわゆる「ゴム弾性」に当たるのですが、引っ張った状態で急速に冷却すると弾性がなくなり、その状態で固まってしまったりします。しかし、元の温度に戻すと弾性を取り戻し、引っ張られ伸びた状態も元に戻ります。

 

 この現象が起きている原理ですが、ポリマーが持つ「架橋」という構造が基点となって起っています。プラスチックやゴムなどが例に挙げられる高分子化合物はポリマーの鎖の集合体で、要所要所で鎖をまとめるために橋のようなものをかけて固定しているのです。

 

 このとき、最初に橋を架けられた状態が一番安定しているから、引っ張るなど力を加えたりするとそこに戻ろうとして、このとき、熱を与えるタイミングで、引っ張られた状態を保ったり、元の形状に戻したりというように自在に形状遷移できるのです。

 

 実はこの「形状記憶」技術は、ワイシャツにも応用されていて、「形態記憶Yシャツ」は形態安定加工という、布繊維をアンモニアホルムアルデヒドなどで処理し、ポリマー間に架橋反応を起こして構造を安定化させる加工をしているのです。

 

上記のように、形状記憶素材などを造形材料に用いて、何らかの「入力」が施されると時間と共に形状が変化する造形物を「4Dプリンティング」と呼ばれています。

作業自体は3Dプリンターと変わりないのですが、時間の概念を内容に取り入れているため4Dと呼ぶのです。

 

では、4Dプリンターでは何ができるのでしょうか。

見ていきましょう。

 

4Dプリンターで何ができるのか?

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 4Dプリンティングが「最終製品が外部環境から受ける刺激に反応してそれ自身の構造に変化を起こしていくもの」であることは前述しており、すでに以下のようなものが開発されています。

 

・小型潜水艦

スイスの大学では、パドルに形状記憶ポリマーを用いていて、水温の変化でパドルを動かし、前や後ろに進む小型潜水艦の模型を作成しました。造形材料として用いられる形状記憶ポリマーが水温変化で形状を変えて、筋肉のようにパドルを前に動かすことで推進していきます。

 

また、薄い形状記憶ポリマーの方が、ぬるい水でもより速く熱が伝わり、形状変化しやすいのです。こう言った造形素材の特性を考慮し、ポリマーが自律的に動作するように設計・プログラムしていくのが4Dプリンティング技術ならではのものです。

 

素材の特性をいかした動力を「マテリアル駆動」とよび、日本でも研究を進めています。

 

・バイオ分野でも活用

バイオ4Dプリンターで細胞を意図した形に配置し、組織や臓器造形を起こす技術を再生医療分野で目指しています。

 

例えば人工透析患者向けの太い血管をシャントと呼ぶのですが、このシャントの造形に取り組んでおり、 患者自身の皮膚細胞などをもとにして、透析用の太い血管をつくっています。

 

こちらは日本で開発されていて、研究中の教授は整形外科医の金属のピンを骨片に刺して形を整える骨折手術で用いられる手術の方法から想像して、細胞を生け花の『剣山』のような針に刺して団子状に固めていくと細胞同士がまとまって立体的な構造物を造形できる事を発見しています。

 

細胞の団子を剣山にさす工程は細胞自体当然小さいため、人の手で再現するのは難易度が高い方法だったのですが、バイオ4Dプリンターを活用すると誰でも再現可能な方法まで発展することができたそうです。

 

まとめ

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さまざまな業界に新たな風を吹かせそうな技術となりそうな形状遷移の技術と4Dプリンターの技術ですね。

 

外界の刺激で勝手に形状が変化することで動かしたりすることはこれまでの発想からは確かにない技術なので、こういった業界に研究費を多く流していって更なる発展をしていってもらいたいですね。